・障害(補償)給付はどんな種類があってどれくらいもらえるのか
・障害が複数ある場合はどうすればいいか
・障害の状態が変わった(悪化回復再発…etc)ときは扱いはどう変わるのか
労働者が通勤や業務上で、障害を患ってしまったとき、政府から障害(補償)給付を受給できる。障害(補償)給付については、障害(補償)年金と障害(補償)一時金、さらには障害(補償)年金前払一時金、障害(補償)年金差額一時金というものもある。このように内容が盛りだくさんなので、障害(補償)給付は前編と後編に分けて説明する。
①障害(補償)給付の種類と支給額
障害等級について
障害(補償)給付については、障害の大きさ(障害等級)によって支給額が異なる。障害等級については厚生労働省にて、それぞれのケースにおいて具体的なケースが詳述されているので確認しておきたい。
障害(補償)給付の支給額
障害等級における支給額は以下のようになる。
給付種類 | 障害等級 | 支給額分 |
障害(補償)年金 |
第1級 |
313日分(1年における給付基礎日額、以下同じ) |
障害(補償)一時金 |
第8級 |
503日分(給付基礎日額、以下同じ) |
障害(補償)年金の第1級〜第3級については、傷病(補償)年金と同額なので、併せて覚えておきたい。
②障害が複数あるケース
一般的な場合
障害を複数持っている場合に、二つの支給額を足し合わせると支給額が膨大になってしまう。
そこで、身体障害が2つ以上ある場合は、重い方の身体障害における支給額に、次に掲げる等級だけ繰り下げた障害等級の支給額が適用されることになっている。
ケース | 繰り下げられる等級 |
1. 第13級以上(第13級、第14級)に該当する身体障害が2つ以上あるとき | 1級 |
2. 第8級以上に該当する身体障害が2つ以上あるとき | 2級 |
3. 第5級以上に該当する身体障害が2つ以上あるとき | 3級 |
例えば、第7級と第13級の障害を持つ労働者がいた場合の支給額は、第7級と第13級を単純に足し合わせたら232日分ではなく、第5級以上に該当する身体障害が2つ以上あるときに該当し、重い方の第7級から3級下がった4級になるから1年における給付基礎日額213日分となる。
すでに障害を持っていたが、同じ部位で障害の大きさが増した場合
労働者自身がすでに持っていた障害に、業務や通勤などで障害の程度が加重してしまった場合(例えば、右目の視力がもともと0.6以下(13等級に該当)だったが、危険物に触れたことで0.1(10等級に該当)になってしまった場合など)は、加重前の支給額に加えて加重後の支給額ー加重前の支給額による差額支給相当額が支給される。
また、障害の程度が障害(補償)一時金→障害(補償)年金に加重されるとき、差額支給相当額の式は、”差額支給相当額=
「障害(補償)年金の支給額」ー「障害(補償)一時金の支給額」1/25”のようになる。
③障害が変更される場合
障害が回復・悪化した場合
障害が悪くなった・良くなったとき、障害(補償)年金と障害(補償)一時金のケースで以下のようになる。
障害(補償)給付の種類 | 内容 |
障害(補償)年金 | 症状が回復したり悪化したりした場合(症状の加重や症状の再発はのぞく)、変更後の障害等級の支給額が支給されるようになる。 |
障害(補償)一時金 | 症状が回復しても悪化しても、障害(補償)年金とは違って支給額は変わらない。 |
障害が再発した場合
障害が再びできてしまったとき、障害(補償)年金と障害(補償)一時金のケースで以下のようになる。
障害(補償)給付の種類 | 内容 |
障害(補償)年金 | 再発による治癒までの期間は療養給付が支給される。そのあと、再治癒後に残った障害は、その障害の大きさによって新たな障害等級の支給額が支給される。 |
障害(補償)一時金 | 症状が再発前と比べて軽減している場合、給付はない。一方で、症状が悪化した場合、加重を参考に差額支給額が給付される。 |


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