【障害(補償)給付 後編】障害(補償)年金前払一時金や障害(補償)年金差額一時金について

労働者災害補償保険法
記事でわかること
・障害(補償)年金の支給までに労働者の生活が困窮してしまうとき、どんな補償があるのか
・障害(補償)年金の受給者がはやく亡くなってしまったとき、どんな補償があるのか
前回述べた障害(補償)年金は申請してから受給まで、だいたい3ヶ月ほどかかってしまう。この3ヶ月間で、生活のお金に困ったり早く社会復帰したい人のために、前払いという形で障害(補償)年金を申請してから受給までの期間に支給される前払い金がこの障害(補償)年金前払一時金だ。

①障害(補償)年金前払一時金について

支給条件

 支給条件は以下の3つとなる。

1. 請求は1回だけ。
2. 基本的には、障害(補償)年金の請求と同時に行う必要がある。
3. 障害(補償)年金の支給決定通知日の翌日から1年以内、または治癒した翌日から2年以内に行わなければならない。
支給額

 支給額は等級に応じて、障害等級に応じて給付基礎日額の200 日分〜1340 日分の請求が可能である(支給額についてはこちらを参照)。

 このように、1340日分まで選ぶことができるのは、治癒した直後に本格的な社会復帰を目指すために一時的に大きな資金が必要な人などは、多くの一時金ををまとめて請求したいからだ。

memo 前払一時金と年金の関係

 障害(補償)前払一時金を支給されることになった場合、障害(補償)年金は障害(補償)前払一時金の支給額分だけ除いた額が支給される。
 しかし、障害(補償)年金支給月から1年間を経過した後の支給額分は、5%/年の利率で割り引いた額が支給されるので注意。(例えば2020年5月に400日分の障害(補償)前払一時金を受給した場合、2021年5月以降の35日分の支給額は5%差し引かれた状態で支給されてしまう)。

②障害(補償)年金差額一時金について

障害(補償)年金差額一時金とは
 障害(補償)年金差額一時金とは、障害(補償)年金および障害(補償)前払一時金を受給している人が亡くなったときに、これまでもらった支給額分が規定の支給額分(下表参照)に満たない場合は、その差額分を支給する差額金のこと。
障害等級 規定額
第1級 1,340日分(給付基礎日額における)
第2級 1,190日分
第3級 1,050日分
第4級 920日分
第5級 790日分
第6級 670日分
第7級 560日分

障害補償年金を受給して早くに亡くなってしまうと、受給額が極端に少なくなってしまう。障害が重い労働者に対する遺族への負担を考慮して支給されるのがこの障害(補償)年金差額一時金だ。

受給資格者

 受給資格者は配偶者or子or父母or孫or祖父母or兄弟姉妹のいずれかである。しかし、このなかで労働者の死亡当時生計を同じくしていた人がいればその人が優先的に受給できる。また、遺族の優先順位については配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹である。

 ここで、遺族の優先順位が同一で生計を同じくしていた人が二人以上いる場合(子供や兄弟が二人いるなど)は、その人数分で割って均等に支給されることになる。一方で、遺族の優先順位が同一で生計を同じくしていない人が二人以上いる場合は、そのうち一人を受給代表者として選任することになる。

memo 受給資格の欠格

 障害(補償)年金差額一時金を巡って、遺族同士で揉め事が起きかねない。そこで、労働者を故意または、 障害(補償)年金差額一時金を受け取れる同順位or先順位の遺族を故意に死亡させた場合、受給資格が失効になると決められている。

以上、今回は障害(補償)前払一時金と障害(補償)年金差額一時金について取り上げた。また、前編についてはこちらをご確認いただきたい↓

【障害(補償)給付 前編】業務によって障害を患ったときに支給される障害(補償)給付について
記事の内容 ・障害(補償)給付はどんなも種類があるのか ・どれくらいの支給額がもらえるのか ・障害が複数ある場合はどうすればいいか ・障害の状態が変わった(悪化回復再発...etc)ときは扱いはどう変わるのか

 

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