【給付基礎日額 後編】給付基礎日額が変更・適用されるケースとは

労働者災害補償保険法
この記事でわかること
・労災保険の給付を受けているとき、賃金相場が大きく変化したら、給付額はどのように変わっていくのか
・長期療養者の最低・最高限度額は、どのようにして決められているか

給付基礎日額は、景気の変動に応じて賃金の相場が変わったとき、それに応じて額の大きさが変わっていく。では、給付額はどのように変わっていくか(このようなシチュエーションをスライド改定という→前回の記事参照)、それぞれのケースにおいてまとめていく。

労災給付ごとのスライド改定

 前提として、給付基礎日額が適用されるのは、休業(補償)給付年金給付(傷病(補償)年金、遺族(補償)年金、障害(補償)年金)などの場合である。

休業(補償)給付の場合

 四半期ごとの平均給与額(※)が、算定事由が発生する日(事故が起きた日または、診断によって症状が確定した日)の属する四半期の平均給与の10%分を超えた(110/100)ときor下回った(90/100)とき、その10%分以上増減した四半期の翌々四半期の初日から、増減分の比率を労働者の従来の給付基礎日額に掛け合わせたものが新しい給付基礎日額となる。

※平均給与額…厚生省が毎月作成する毎月勤労統計で、労働者一人当たりの月例給の4月〜翌3月分を12で割ったもの。イメージとしては、スライド改定の説明で前述した賃金の相場に値する。

 また、再び増減した場合は、改定された後の最初の四半期と比較して10%分以上の増減分があれば、四半期の翌々四半期の初日から増減分の比率を労働者の従来の給付基礎日額に掛け合わせたものが新しい給付基礎日額となる。

年金給付の場合

 算定事由が発生した年度の翌々年度の8月以後において、算定事由が発生した翌年度/算定事由が発生した年度分の比率を労働者の従来の給付基礎日額に掛け合わせたものが新しい給付基礎日額となる。

 また、再び増減した場合は、年金給付の場合は、初年度の平均給与額と比較して増減した分だけ翌年度の8月以後に随時更新されていく。

point 休業(補償)給付と年金給付の違い

① 支給要件
 休業(補償)給付の場合は10%以上増減が条件だが、年金給付の場合は条件なし。
② 支給開始時期
 休業(補償)給付は10%以上増減が起きた翌々年度からだが、年金給付は翌年度の8月から適用される。

   例えば、労働者の給付基礎日額が2020年5月現在で30万円で、2020年度の平均給与額が24万円、2021年度の平均給与額が30万円、2022年度の平均給与額が33万円の場合、労働者の給付基礎日額は、例えば2022年1月時点で 375,000円(30万円30万円/24万円)、2023年9月時点で412,500円(30万円33万円/24万円といった具合で計算される。)

その他の場合

 その他のケース(一時金給付特別給与(特別給与の詳しい説明については、後日取り上げる))も給付基礎日額の適用があるが、これらは年金給付と扱いが一緒である。

年齢層別の最低・最高限度額

 長い期間にわたって療養する際、現行制度では働き盛りの人は期間問わずたくさん貰えるのに対し、実務経験の少ない若い社員などは期間が経っても全然もらえない問題がある。そこで、年齢によって貰える最低限度額と最高限度額を決めた年齢別の最低・最高限度額という制度が存在する。

 この年齢別の最低・最高限度額とは、労働者の給付基礎日額が年齢ごとでバラツキが生じないよう、年齢で最低・最高限度額を定めている制度である。

 毎年8月1日〜翌年度7月31日の期間で適用され、最新の年齢別の最低・最高限度額はこちらで参照できる。

休業(補償)給付の場合

・適用時期

 休業(補償)給付の場合、療養を開始した日から1年6ヶ月を経過した日以後で最低・最高限度額が適用される

・適用方法

 誕生日から適用されるのではなく、四半期の初日時点で労働者の年齢を当てはめていくことがルールである。例えば、11月誕生日の29歳の労働者であれば、翌年1月から30~34歳の最低・最高補償限度額が適用される。

年金給付の場合

・適用時期

 年金給付の場合、給付初日から最低・最高限度額が適用される

・適用方法

 休業(補償)給付と同様に、誕生日から適用されるのではないが、毎年8月1日時点で労働者の年齢を当てはめていくことがルールである。

スライド改定と最低・最高限度額の関係 

 なお、スライド改定が行われた場合、適用後の給付基礎日額が最低限度額を下回るor最高限度額を上回る場合、最低・最高限度額が適用されることになる。

以上、前回に引き続き、給付基礎日額について2回にわたって取り上げた。

 

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