【内払処理・充当処理】給付手続きにミスがあった場合、どんな調整が行われるのか

労働者災害補償保険法
この記事でわかること
・内払処理・充当処理とはそもそもなにか
・内払処理が行われるのはどんなときか
・充当処理が行われるのはどんなときか

給付手続きでは、給付の手続きでミスが発生することがある。そんなミスが発生したとき、保険給付の支給において調整が行われる。今回は、その支給調整に関する内払処理・充当処理について述べる。

内払処理について

 内払処理とは、一言で言えば給付手続きのミスによる調整のことだ。本来、労災保険は権利がなくなれば、終了手続きが行われて翌月から支払われなくなるのが普通だ。しかし、年金の場合は、金額の増減や給付種類の切替などが発生するために手続きが複雑化する。その変化に手続きが追いつかず誤った金額を支給してしまうことがある。

 このような問題が生じてしまうとき、受給権者に対して行われる保険給付の支給調整ことを内払処理と言う。

alert 言葉の定義

 怪我が治って休業(補償)給付が終了、症状が固定して療養(給付)給付が終了するのは単純に自然終了である。そのため、停止や消滅とは全く意味が違う。他にも欠格や失格といった言葉があるので、注意が必要である。

内払処理が行われるケース

 内払処理が行われるのは以下のようなケースである。

1. 年金の支給停止が決定したが、停止期間に給付が行われたとき
2. 年金の減額改定が決定したが、翌月以降減額しない年金が支払われたとき
3. 年金の受給権消滅が決定したが、翌月以降年金が支払われたとき

 どんなケースが当てはまるのかそれぞれのケースを説明していく。

支給停止のケース

 支給停止とは、主に前払一時金から年金にシフトするケースを指す。つまり、内払処理が行われるのは、前払一時金をもらっていた期間だけ年金の支給開始が遅れるはずなのに、誤って支払われてしまったときだ。

 これは、その誤って支払われてしまった分の期間だけ年金支給日が後ろ倒れになる。

減額改定のケース

 減額改定とは、主に障害の回復によって金額が減額するケースを指す。つまり、内払処理が行われるのは、減額されるはずなのに余分にもらってしまうときだ。 

 これは、その余分にもらった分を内払とみなされ、その次の支給は減額後の金額からさらに誤って支給された金額が適用される。

受給権消滅のケース

 受給権消滅とは、主に給付対象の労災保険の種類が変更されるケースを指す。つまり、内払処理が行われるのは、労災保険の支給給付の変更後に、変更前の支給給付が支払われてしまうときだ。具体的には下記のようなケースが該当する。

変更前 変更後
障害(補償)年金 傷病(補償)年金、障害(補償)一時金、休業(補償)給付
傷病(補償)年金 障害(補償)給付、休業(補償)給付
休業(補償)給付 傷病(補償)年金、障害(補償)一時金

 なぜ、このように変更されるのかについてはそれぞれの単元を復習していただきたい。

【休業(補償)給付】業務上の事故や怪我で仕事できない間に支給される休業(補償)給付について
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充当処理について

 充当処理も、給付手続きのミスによる調整のことであるが、とりわけ労働者が死亡したケースの場合の支給調整のことをいう。

内払処理は労働者の受給する労災保険が変わったときに発生する労災保険の支給ミスに対する調整を指すが、充当処理は労働者が死亡したときに発生してしまった労災保険の支給ミスに対する調整を指す。

充当処理が行われるケース

 充当処理が行われるケースは、年金給付を受ける権利を持つ労働者が死亡したにも関わらず、翌月以降に誤って年金が支払われてしまったケースである。これは、受給権を持つ労働者の死亡によって新しく受給権者となった者に支給される保険給付をその分だけ充当する仕組みになっている。具体的には下記のようなケースが該当する。

なくなった労働者が
余分にもらってしまった
労災保険の種類
新たな受給権者で
支給調整される労災保険の種類
障害(補償)年金 遺族(補償)年金、遺族(補償)一時金、葬祭料(葬祭給付)、障害(補償)年金差額一時金
遺族(補償)年金 遺族(補償)年金、遺族(補償)一時金、葬祭料(葬祭給付)
傷病(補償)年金 上記に同じ

 なぜ、このように変更されるのかについてはそれぞれの単元を復習していただきたい。

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以上、今回は労災保険の支給ミスによって行われる支給調整である「内払処理」と「充当処理」について説明した。

 

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