【併給調整・支給制限】社会保険との併給や支給制限が起きた場合の調整について

労働者災害補償保険法
この記事でわかること
・社会保険と併給状態になったときはどんな調整が行われるのか
・労災保険が支給制限や一時差止めを受けるときはどんなケースなのか

 労災保険と社会保険を重複して受給してしまうとき、労働者は必要以上の手当を受けることになってしまうため、併給調整が行われる。また、災害が労働者の故意的な過ちによるとき、支給制限が行われる。今回はそのようなケースにおいて、それぞれの処理について述べていく。

社会保険との併給調整

併給調整が行われるケース

 今回取り上げているのは労働者災害補償保険法についてだが、同じ事由で他の社会保険とダブル受給されることがある。この場合、行われるのが労災保険の併給調整だ。

 具体的には、障害補償年金と、障害基礎年金(国民年金法)、障害厚生年金(厚生年金保険法)などがバッティングするケースだ。この場合、どのように調整されるのかについて下記の併給調整額にて説明する。

alert同一の事由について  

同一の事由とは、同じ原因や理由という意味で、受給者が別々でも適用される。例えば、労働者の夫が遺族補償年金、子供が遺族厚生年金を受給することになった場合、夫の受給額は0.84%を除した額となる。
併給調整額

 併給調整は、下記の率を乗じて支給される決まりになっている。

・遺族補償年金

  遺族厚生年金 遺族基礎年金または寡婦年金 遺族厚生年金および遺族基礎年金
遺族補償年金 0.84 0.88 0.80

・その他労災保険

  障害厚生年金 障害基礎年金 障害厚生年金および障害基礎年金
障害補償年金 0.83 0.88 0.73
傷病補償年金
・休業補償給付
0.88 0.88 0.73

 なお、障害手当金とバッティングするときは、障害(補償)給付の全額給付となり、生涯手当金は支給されない

併給調整の特例

 例えば、調整後の労災保険の支給額が、併給調整によって調整前の労災保険を下回ってしまうとき、実際に支給される額は「調整前の労災保険の年金額ー社会保険の年金額」となる。つまり、社会保険の年金額と足したら調整前の労災保険の年金額になるように調整されるのだ。

支給制限・一時差止め

支給制限のケース

 労災保険は、労働者の故意的な過ちによっては支給されないケースが存在する。それを支給制限という。支給制限がかかるケースは具体的に以下3つのケースである。

① 労働者自身が、故意的に負傷、疾病、障害もしくは死亡したとき、またはその原因となった事故を発生させたとき

② 労働者が相手に対し、故意の犯罪行為重大な過失によって負傷、疾病、障害もしくは死亡したとき、またはその原因となった事故を発生させたとき

③ 労働者が療養に関する指示に従わないことで、障害の程度を増幅させて回復を妨げたとき 

memo 自殺の場合 

 自殺の場合、労災保険が支給されるケースは、労働者が精神障害のときに限られる。つまり、業務に関連があったとしても、基本的には覚悟の自殺と見なされるので、労災保険は支給されない
支給制限の内容
ケース 支給制限の内容
労働者自身による故意の場合 支給全額なし
故意の犯罪行為・重大な過失の場合 保険給付の30%減額。ただ年金給付は療養開始後3年以降は100%に戻る。
療養に関する指示違反の場合 休業(補償)給付は10日分相当額を減額、傷病(補償)年金は年金額の10/365相当額を減額。
一時差止め

 労働者が正当な理由がなく、保険給付に関する届出をしないとき、必要書類を提出しないとき、受診命令に従わない時などは、保険給付の支払いを一時差止めを受けることになる。

 この際、労働者の行動によって差止め自由がなくなったら、留保していた金額はまとまって支払われる。つまり、差止めによる減額などは行われない。

以上、今回は労災と社会保険のダブル支給になってしまったときに行われる併給調整と、労働者の故意的な過ちによって支給されない支給制限について取り上げた。

 

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