【雑則】労災法に関する細かいルールについて

労働者災害補償保険法

今回はいよいよ労働者災害補償保険法の最終回となる。これまで労災保険についてのあれこれについて述べてきたが、今回は労災法に共通する細かい決まりごととなる雑則について最後に述べていきたい。

この記事でわかること
・労災法の細かい決まりごとについてはどんなルールがあるのか

費用の負担

 労災保険の保険料は、原則事業主が全額負担することになっている。ただ、特別ケースにおいて国が一部負担することがある。

memo 戸籍事項の無料証明
 戸籍の証明には、市町村の窓口で通常450円の費用が掛かることが多いが、保険給付を受けようとする者または保険給付または保険給付を受けるための遺族の戸籍については、戸籍謄本等とは別に無料で証明を受けることができる。

保険給付の時効

各保険給付の起算日
 時効は保険給付の支給を受ける期限のことだが、起算日はその時効に達するまで日数をカウントし始める最初の日のことをいう。

保険給付 起算日
休業(補償)給付 労働不能の日毎にその翌日
葬祭料 死亡した日の翌日
介護(補償)給付 介護を受けた月の翌日の初日
障害(補償)年金前払一時金 傷病が治った日の翌日
遺族(補償)年金前払一時金 死亡した日の翌日
二次健康診断等給付 労働者が一時健康診断の結果を知った日の翌日
障害(補償)給付 傷病が治った日の翌日
障害(補償)年金差額一時金 障害(補償)年金の受給権者が死亡した日の翌日
遺族(補償)給付 死亡した日の翌日
各保険給付の時効
 障害(補償)給付、障害(補償)年金差額一時金、遺族(補償)給付は5年だが、それ以外の保険給付は2年である。なお、療養(補償)給付と傷病(補償)年金については時効がない。

なお、上記に記載のない療養(補償)給付については現物給付なので時効の問題は発生しない(療養費用の場合は、療養に要する費用を支払った日の翌日が起算日になる)。また、傷病(補償)年金については、労働者の申請ではなく、労働基準監督署長が支給決定をするので時効の問題はそもそもない。

書類の保存義務

 事業主は労災保険に関する書類を、労災保険に関わる保険関係が成立した日から3年間保存しなければならない。

 また、事業主は労災保険に関わる保険関係成立の年月日や労働保険番号を事業場の見やすい場所に掲示して労働者に周知すること、保険関係が終了したときにその年月日を労働周知することが義務となっている。

報告・出頭

 所轄都道府県労働局長または所轄労働基準監督署長は事業主に対して、必要な報告、文書の提出、出頭を命令することができる。

 また、行政庁は労働者に対して、必要な報告、届出、文書の提出を命令することができる。

受診命令

 行政庁は、保険給付に関して必要があるとき、保険給付を受けている人、または受けようとしている人に対して、医師の診断を受けることを命令できる。

 また、医師などの診察担当者に対して報告や診療録、帳簿書類などの提示を命令して、検査させることもできる。

立入検査・罰則

立入検査
 労災保険に関してなにかトラブルがあったっ場合、行政庁は事業場に立ち入って、関係者に質問させて帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 また、立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯して、関係者に提示する必要がある。

罰則
・事業者のみが罰される場合

 以下のようなことをした場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる。

1. 報告・出頭に対して、虚偽の報告、または文書の不提出、または虚偽の記載をした文書を提出した場合
2. 立入検査に対して、虚偽の陳述を行い、検査を拒み、妨げた場合、もしくは忌避した場合
・事業主以外が罰されるケース

 罰則を犯したのが事業主以外で以下のようなことをした場合、事業主に対して6ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金が課せられる。

1. 報告・出頭に対して、虚偽の報告、または文書の不提出、または虚偽の記載をした文書を提出した場合
2. 立入検査に対して、虚偽の陳述を行い、検査を拒み、妨げた場合、もしくは忌避した場合
3. 診察担当者に対する命令に対して、虚偽の報告をし、検査を拒み、妨げた場合、もしくは忌避した場合
pickup 両罰規定

 事業主以外の者であった場合、事業に関する業務であったら、行為者と事業主両方に対して罰する両罰規定がある。なお、業務以外の場合は行為者のみが罰される。
以上、今回は労災法に関する細かい雑則について述べた。今回をもって労災法の単元は終了になる。

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